子ども(乳幼児):熱が出る病気

公開日2021.08.30

※当コンテンツの内容は2022年11月時点の情報で更新しました。

監修:草川功(聖路加国際病院 小児科 診療教育アドバイザー )

熱が出る病気

発症しやすい年齢 発症しやすい季節 原因(感染経路) 予防接種の有無
インフルエンザ 乳幼児〜 11〜3月ごろ インフルエンザウイルス
(飛沫感染、接触感染)
あり
RS ウイルス感染症 0〜3歳ごろ 9〜2月
(地域による)
RS ウイルス
(接触感染や飛沫感染)
-
突発性発疹 生後6カ月〜2歳ごろ 通年 ヒトヘルペスウイルス
(唾液感染)
-
ヘルパンギーナ 1〜4歳ごろ 7〜11月 コクサッキーウイルス、エコーウイルスなど
(接触感染、飛沫感染、便からの感染)
-
手足口病 5歳以下 6〜10月 コクサッキーウイルス、エコーウイルスなど
(接触感染、飛沫感染、便からの感染)
-
プール病
(咽頭結膜熱)
5歳以下 7〜11月 アデノウイルス
(接触感染、飛沫感染、便からの感染)
-
溶連菌感染症 2〜3歳ごろ〜
小学校入学前
12〜6月 溶連菌
(飛沫感染)
-
尿路感染症 あらゆる年齢層 通年 主に大腸菌
(尿路への侵入)
-
髄膜炎 あらゆる年齢層 通年 ウイルスや細菌
(髄膜への侵入)
あり
(病原体による)
脳炎 あらゆる年齢層 通年 ウイルスなど
(脳への侵入)
あり
(病原体による)
川崎病 4歳以下、特に1歳前後 通年 遺伝学的因子+環境因子 -
おたふくかぜ 2〜6歳ごろ 2〜8月 ムンプスウイルス
(飛沫感染、接触感染)
あり
麻疹(はしか) あらゆる年齢層 3〜6月 麻疹ウイルス
(空気感染、飛沫感染、接触感染)
あり
風疹 あらゆる年齢層 2〜6月 風疹ウイルス
(飛沫感染)
あり
水ぼうそう(水痘) 2〜8歳ごろ 12〜6月 水痘・帯状疱疹ウイルス
(接触感染、飛沫感染、空気感染)
あり
結核 あらゆる年齢層 通年 結核菌
(空気感染)
あり

(発症しやすい年齢、季節は目安です)

病原体(細菌、ウイルス)による感染経路の違い

細菌やウイルスの種類によって、感染経路は異なります。また、1つの感染経路だけでなく、複数の感染経路を持つ細菌やウイルスもいます。例えば、インフルエンザウイルスは飛沫感染だけでなく、接触感染でも感染が起こります。

接触感染

皮膚や粘膜の直接的な接触や、病原体がついた物に触れた手や物を介して、眼、鼻、口などの粘膜に付着することで感染が起こります。

飛沫感染

病原体を含んだ鼻水や唾液、痰などの飛沫が、感染者の咳やくしゃみなどで飛び、粘膜に付着することで感染します。

空気感染

咳やくしゃみで飛んだ飛沫の水分が蒸発した後、病原体のみが長時間空気中を漂い、その空気を吸い込んだ人が感染します。飛沫感染する病原体は、大きければ落下し、小さければすぐに乾燥して感染リスクが低減します。ところが、麻疹ウイルス、結核菌、水痘ウイルスなどは、小さくなった飛沫(飛沫核)でも感染性を失わず、飛沫核は軽いために空気中を漂い、広範囲に感染を拡げます。

<本記事における下記のことばの定義>
「乳児」・・1歳未満
「幼児」・・満1歳から小学校就学前まで
※参考:児童福祉法

監修者紹介

草川功

聖路加国際病院 小児科 診療教育アドバイザー

東京医科大学病院小児科、東京医科大学八王子医療センター小児科、国立小児病院麻酔集中治療科、米国ピッツバーグ小児病院麻酔科・呼吸生理研究室、東京医科大学病院新生児部門などを経て1992年より聖路加国際病院小児科。2005年より同病院小児科医長。2022年より現職。公益法人全国保育サービス協会会長、実践女子大学生活科学部非常勤講師など兼任。

草川先生
からのメッセージ
体温は、体調管理の上で最も用いられる指標の一つです。非接触型の体温計、耳の鼓膜温を測定する体温計、そして、昔ながらの腋窩で測定する体温計など、体温計は種類が豊富で、その目的に合ったものを選べば、誰にでも簡単に子どもの体温測定ができます。そして、その数値の変化を見るだけで、子どもの体調の変化を客観的に知ることができます。
ただし、ちょっとしたことで変化しやすい子どもの体温は、その基本を知っていなければ、不正確な体温測定になってしまい、余計な心配ばかりが増えることにもなりかねません。体温についての正しい知識を持ち、正確に体温を測定する方法を身につけ、是非、お子さんの健康管理に役立ててください。
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