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発熱の目安や病院に連れて行くタイミングなどを解説します。

監修:巷野悟郎(こどもの城小児保健クリニック)

子どもの「発熱」の目安は何度なのですか?

ふだんから時間帯ごとの平熱を測って、発熱に対処しましょう。

4つの時間帯の平熱を測る

お子さんの体温が37℃を超えると、もう心配するお母さんがいらっしゃいます。しかし、熱が出た程度を判断するには、その人の平熱を知らなければわかりません。つまり同じ37.5℃の熱が出たとしても、平熱が36.5℃の人の場合は平熱より1℃高いのですが、平熱が37.2℃の人では0.3℃しか高くなっていないということになります。ふだんから平熱を測っていれば、どの程度の発熱かがわかって、迷うことはありませんね。
では平熱はどのように測ればいいのでしょう。体温は1日のうちでも1℃以内程度の変動があり、午前4時ごろが最も低く、午後から夕方にかけて高い状態になります。したがって、平熱はひとつではなく、時間帯によって異なるのです。平熱の測り方は、起床時、午前、午後、夜の計4回体温を測り、時間帯ごとの平熱としておぼえておくのがいいでしょう。食後すぐは体温が上がりますから、食前や食間に検温するのが適切です。また平熱の測定は1日だけでなく、日を置いて何回か測ってみましょう。なお、感染症法では、37.5℃以上を「発熱」、38.0℃以上を「高熱」に分類しています。

熱がそれほど高くなければ大丈夫なのですか?

熱が高くなくても、きげんが悪いときはご用心。

体温が高いほど重症というわけではない

体温の高さはひとつの目安になりますが、体温が高いほど重症かというと、そうは言いきれません。顔色が青くなって体が震えたりすると、重症の病気のような印象になりますが、そのような場合でも何時間かたって体温が下がると、けろっとして笑顔が出て食事もよく食べるということがあります。
体温がそれほど高くなくても、きげんが悪かったり、食欲がなかったり、体のどこかが痛かったりしている場合は、注意深く様子を見る必要があります。また、おしっこの回数が減っていれば脱水症の目安になります。

とくに気をつけたい発熱とは?

とつぜん38℃以上の熱が出たらすぐ病院へ。

インフルエンザや熱射病などは高熱が出る

いろいろな病気があって、熱の出方もいろいろですから、一概にはいえません。しかし、とつぜん高い熱が出るというのは、体の中で大きな異変が起こったということですから、注意が必要です。インフルエンザにかかったときも、ふつうのかぜと違って、いきなり38℃以上の高い熱が出ることが多いのです。インフルエンザになったら、有効な治療をしてもらうためにも、なるべく早く病院に行ってください。
熱中症でも、はっきりと体温があがったとき、とくに40℃以上の熱が出たら、熱中症のなかでも最も重い「熱射病」の可能性があります。こんなときは急いで病院に連れて行きましょう。

熱が出たとき病院に連れて行く目安を教えてください。

きげんの良さ、悪さなど、熱以外の心やからだの状態をチェックしましょう。

熱と、そのほかの体の状態をみて病院に行くかどうかを決めましょう

生後3カ月未満の場合を除けば、熱の高さだけで病院に行くか、行かないかを決めるべきではありません。熱以外の症状や、体の状態をみて判断することが大切です。ひとことでいえば「きげんが悪い」とか「ふだんと様子が違う」ということになりますが、次のような場合は病院を受診する目安になると思いますので、参考にしてください。

  1. 生後3カ月未満で、38℃以上の発熱があったとき。
  2. 顔色が悪く、苦しそうにしているとき。
  3. 元気がなく、ぐったりしているとき。
  4. 38℃以上の高い熱が出て、頭が痛いとか、吐くなどの症状があるとき。
  5. 意識がもうろうとしているとき。
  6. 苦しそうに呼吸をしているとき。
  7. 強い腹痛をうったえるとき。
  8. ひきつけを起こしたとき。

子どもの発熱に備えて、普段から準備しておくものは?

家族用とは別に用意したい、乳幼児専用の体温計。

発熱に対して備えておきたいもの

子どもは、いつ熱を出すかわかりません。夜中に発熱した場合は、何かを買いに行くにも店が開いていないといった問題があります。発熱に備えて、普段から準備しておいたほうがいいものとして、次のような品目が考えられます。

  1. 体温計(乳幼児の場合は、汚染された器材からの感染を受けやすいため、専用のものを準備しておきます)
  2. 保冷剤(いつも冷凍庫で冷やしておき、タオルで巻いて水枕や氷嚢の代わりに使います)
  3. イオン飲料(水分補給用。「経口補水液」が最適です。なければ自分で作ることもできます)
  4. 解熱剤(医師から処方されている場合は、抗けいれん剤も)
  5. 加湿器(インフルエンザウイルスは、湿度の高いところでは長く生きられません)

お医者様から、熱が出るのは、いいことだといわれたのですが。

かぜの発熱は、体が病気を治そうとしている証拠なのです。

かぜのウイルスと戦っているから熱が出る

子どもの病気の多くはかぜウイルスの感染によります。そのウイルスは呼吸器粘膜などの組織を侵し、それが続けば病気はどんどん重くなっていきます。幸いなことに、感染を受けると多くの場合は発熱が起こります。ところが発熱の程度は、体温計が数字で簡単に表示してしまうので、ちょっとした数字の違いで心配するお母さんがいます。そこで体温が高いと何とか熱を下げなければという気持ちになるのですが、実は発熱そのものも病気を治そうとしている症状なのです。体温が高いと、からだはウイルスに対する抗体をつくりやすいし、ウイルスにとってもすみにくい環境なので、ウイルスの勢いは弱まり、病気は治まるということになります。心配なかぜの発熱も、子どもの体が病気を抑える力なのです。
したがって、少なくとも発熱が軽度で、ほとんど苦痛を訴えない場合には解熱剤の必要はなく、むしろ与えないほうがよいとされています。

赤ちゃんは熱が高いと思っても、時間がたつと治っていることがあります。

暑いかな?と思ったら、1枚ぬがせる。

赤ちゃんは、室温が高くても、着せすぎでも熱が出やすい。

子ども、とくに就学前の乳幼児の体温は、環境の温度が高いとすぐ高くなる傾向があります。暑い部屋にいたり、厚着をさせたまま暖かい部屋にいると、熱が体内にこもって体温が高くなることがあるのです。
暑い環境にいると、人間は汗をかいて体表面から汗を出し、その蒸発熱で体温を下げようとするのですが、しかしその機能には限界があります。まして子どもはおとなにくらべ、体温の調節機能がそれほど発達していません。また体の大きさにくらべて体表面積が大きいため、環境温度の変化を受けやすいのです。
ですから、「ちょっと暑いのかな?」と思ったら、薄着にさせてみると体温が落ち着いてきて、きげんも良くなることがあります。

熱が高くなると脳に影響はないのでしょうか?

熱そのものが脳にダメージをあたえる心配は、ほぼない。

40℃台の熱では脳への影響は考えにくい

熱が高いと脳がやられてしまうのではないかと心配するお母さんが時々ありますが、あまり心配はないとされています。もちろん、髄膜炎とか脳炎などの脳に傷害を与える病気も、高熱が出ます。しかし少なくとも41℃未満では、単純に熱そのものが原因で、脳にダメージをあたえることはないといわれています。41℃以上の熱は、発熱単独でも全身に悪影響をあたえる恐れがありますが、これは、脳だけというよりも、全身に対する影響が起こるということです。

監修者紹介

巷野悟郎(こどもの城小児保健クリニック)
1944年東京大学医学部卒業。東大小児科、都立駒込病院小児科医長・副院長、都立府中病院長、東京家政大学教授、聖徳大学児童学科教授、(社)日本小児保健協会会長、こどもの城小児保健クリニック院長を経て現職。

巷野先生からのメッセージ

赤ちゃんが健康なときの体温をはかっておきましょう。朝起きたとき・昼頃・夕方・寝る前の4回。
これを母子健康手帳に書いておくと、予防接種を受けるときや、少し熱があるときなど参考になります。
体温は一人ひとり違うからです。しかし熱があるからといって、目盛りの数字にとらわれないで、そのときの赤ちゃんの機嫌や全体の様子などを、優先して判断しましょう。

巷野悟郎先生

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