「冷え性」はなぜおこるか?このページを印刷する

低体温との違いは?「冷え性」のメカニズム、その意外な事実とは?

監修:渡邉賀子(麻布ミューズクリニック院長・医学博士)

「冷え性って、体温が低いの?」いいえ、そうとは限りません。
冷え性と低体温は別なのです。

女性の半数以上が冷え性!?

冷え性は女性に多い症状です。個人差はありますが、女性の半数から7割近い方が冷えをつらいと感じています。女性は男性に比べると、熱を作り出す筋肉が少ない、皮膚の表面温度が低い、貧血や低血圧の人が多いことなどがその理由と考えられます。また、月経の影響などで、腹部の血流が滞りやすいといったことも、女性に冷え性が多い理由でしょう。

冷え性と低体温はちがう

一般に体温を測って36℃未満の人を「低体温」と呼ぶことがありますが、冷え性は「体温が何度以下」、という考え方とはちがいます。
冷え性は、「普通の人が寒さを感じないくらいの温度でも、全身や手足、下半身など体の一部や全身が冷えてつらい症状」とされています。

意外に多い夏の冷え性

冷え性というと冬を連想しますが、冷房の効いた現代では夏の冷え性も多く見られます。外の暑さで汗をかき、冷房がきいた室内で冷やされ、汗が乾くときにも熱が奪われて冷え性の原因となってしまうというパターンです。これに加え、冷たい生ビールをガブガブ飲む、暑いからと浴槽に入らずシャワーですませるといった夏の生活習慣も、冷え性を招きます。

男性にも、高齢者にもある冷え性。

男性の1割が冷え性

冷え性は女性に多い症状ですが、男性でも冷え性に悩んでいる人はめずらしくありません。ある調査では、男性でも約1割の方が冷え性を辛いと感じているようです 。

冷えの陰に生活習慣病がかくれていることも

男性の冷え性の原因は、運動不足による筋肉の減少やストレス過多、生活習慣病による動脈硬化などが関わっているケースが多くみられます。とくに高齢者では動脈硬化が進み、血行が悪化した結果として冷え性が起こることも多いのです。

体の「冷え」は、体温を調節するメカニズムと密接な関係があります。

体の中心部の体温を維持するために手足が冷える

わたしたち人間の生命活動を維持する上で大切な働きをしている酵素の働きは、37℃で最も高まります。そこで、内臓のある体の中心部の温度をつねに37℃に保つために、環境の変化に応じて体温を調節するわけです。

暑いときは四肢末端や皮膚表面近くにある血管を拡張させ、血液の流れる量を増やすことで外気に向けて熱を逃がそうとします。それでも足りなければ、汗を出すことで熱を逃がします。

逆に寒いときは、四肢末端や皮膚表面などの血管を収縮させて熱の拡散を防ぎ、心臓や肝臓など重要な臓器が集まる体の中心部に血液を集めて、体温を維持しようとします。そのため血液が行き渡りにくくなった手先や足先は、温度が下がるのです。さらに寒いと、体がふるえますが、これは筋肉を動かすことで熱を作り出そうとする反応です。

冷え性の原因、「積冷」を衣食住で改善する。

寒い思いを積み重ねる「積冷」

冷え性は、いわゆる体質的な部分だけでなく、生活習慣のなかで冷えにさらされることの積み重ねが原因になることがあります。このことを、東洋医学では「積冷」と呼びます。たとえばエアコンの普及や衣服・食生活の変化、それに夜型の生活やストレスの増大も影響して現代人は冷えを感じやすくなっています。
「生活習慣病」という言葉がよく使われるようになって来ましたが、食事や運動など生活習慣を改善することで疾病の予防や治療に役立つことが西洋医学的でも、ようやく認識されてきました。
漢方では古くから衣食住をはじめとする生活全般にわたる注意、つまり「養生(ようじょう)」が重視されており、冷え性対策においても、いろいろな角度から日常生活を改善していくことが有効です。

監修者紹介

渡邉 賀子(麻布ミューズクリニック院長・医学博士)
久留米大学医学部卒業。熊本大学第三内科に入局。1997年、北里研究所にて日本初の「冷え症外来」を開設。2003年、慶應義塾大学病院漢方クリニックにて、女性専門外来「漢方女性抗加齢外来」を開設。現在も引き続き担当している。慶應義塾大学医学部漢方医学センター非常勤講師。漢方専門医・日本東洋医学会指導医。

渡邉先生からのメッセージ

「冷え性」は西洋医学では病気と考えられていませんが、実際には冷え症状のために日常生活に支障をきたしている人も多いのです。
寒い季節だけでなく、夏の冷房でも「冷え」を感じることはあり、季節を問わず悩んでいる人も多いと思いますが、実はちょっとした生活習慣や環境の改善で、軽くすることもできるのです。

渡邉 賀子先生

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