冷え性対策 「食」編このページを印刷する

体を温める食べ物・冷やす食べ物、賢く選ぶことが体温管理につながります。

監修:渡邉賀子(麻布ミューズクリニック院長・医学博士)

食べもの、飲みものが冷たいと「冷え」の原因に。

食べもの、飲みものの温度が「冷え」の原因に

私たちが歩いたり、何か運動をしたりするのも、さらには心臓が動いているのも、食べ物からの栄養をエネルギーに変えているからです。この化学反応は「代謝」と呼ばれますが、代謝で生み出されるエネルギーの75%以上は熱となり、体温の維持に役立てられています。
しかし胃や腸などの消化管内では、消化が行われる際に入ってきた飲食物を温めることによっても熱が消費されます。このため飲食物の温度も体の「冷え」に大きくかかわってきます。

できるだけ温かいものを口にする

冷たい飲食物をとると体が冷え、温かいものをとると体が温まるのはよく経験するところです。冷え性を防ぐには体の熱を保持する必要があるため、物理的に温かいものをとることが望ましいといえます。
とくに冷蔵庫から冷たい清涼飲料やビール、氷やアイスクリームなどを自由に出して食べられる生活環境となっているため、注意が必要です。

体温のリズムをととのえる朝食

体温の日内リズムの中で、朝食はとても重要

日常生活での体温は、夜間には低く、早朝に最低となり、起床・朝食後に急激に上昇し、その後もゆるやかに上昇して夕刻前に最高になった後、ゆるやかに下降するという形で変動します。
睡眠中は代謝も低下しており、朝食は1日の活動に向けて代謝を高め、体温を上昇させるという意味からも、とくに重要です。毎朝の食事は規則的に、温かく消化のよい飲食物を摂取することが大切です。昔ながらの朝がゆや雑炊、味噌汁とご飯などが理想的。
夜間は、入浴後の冷たいビールなど低温の飲食物を避けましょう。くだものなどは、体温の高い日中に食べるとよいでしょう。

ダイエットで体重を減らしすぎるのは問題。

無理なダイエットが招くエネルギー不足

成人した女性は、同じ身長・体重の男性に比べて、筋肉量が10%ほど少ないため、体内で作る熱の割合もそのぶん低くなっています。では女性の体温は低いかというと、男女とも午後の高くなったときの体温は同じくらいです。作り出す熱の量が少ない女性が、どうして男性と同じ体温を維持できるかというと、女性の場合は男性よりも体脂肪の割合が約10%高く、体脂肪が断熱材の役割をすることで、熱産生量の少なさをカバーしていることがわかっています。つまり、適正な体重で適度な筋肉と体脂肪を保つことはともに、女性が体温を維持するために欠かせないのです。
冷え性は更年期にも多いのですが、実は若い女性にも多く認められ、その原因は無理なダイエットによる摂取エネルギー不足と、筋肉・体脂肪の減少、そしてその結果としての女性ホルモンのアンバランスだと考えられます。

「食性」を知って、冷え性を寄せつけない。

体を温める食物と、冷やす食物を使い分ける

古来より中国では、体を温める性質を持つか、冷やす性質をもつかという観点から、すべての食べ物を「熱・温・平・涼・寒」の5つに分類し、これを「食性」と呼んでいます。おおまかには、温・熱をまとめて「温性」、寒・涼をまとめて「冷性」とし、「平」とあわせて全体を3分類して、冷え性の人には、温性の食物を多めに、冷性のものを少なめにとるといった指導を行っています。

食品の五性分類

食性を利用して、体のバランスをコントロールする

大切なのは、食性を利用して、体のバランスをコントロールすることです。冷え性だからといって、体を温めるものだけ食べればいいわけではありません。体を冷やす食品は鎮静作用もあるため、 火を通したり、体を温める食品と組み合わせて、上手にバランスをとりましょう。
体を温める食べ物、中間の食べ物、体を冷やす食べ物は次の表のように分類されます。

  体を温める食べ物 中間の食べ物 体を冷やす食べ物
穀類 もち米、ふ、ライ麦 米、とうもろこし そば、小麦
いも・いも類
加工品
  里芋、じゃがいも、さつまいも、やまいも こんにゃく
砂糖・甘味類 黒砂糖、水あめ はちみつ 白砂糖
油脂類 ごま油    
種実類 くるみ、松の実、くり ごま、ぎんなん、くこの実、けしの実、落花生、ココナッツ そば、小麦
豆・豆類加工品 いんげん、そら豆、納豆 大豆、あずき、えんどう豆 豆腐
魚介類 あじ、さば、いわし、ふぐ、えび、たい、かつお、たら、なまず、ぶり、あなご、うなぎ どじょう、ふな、はまぐり、こい、さより、舌びらめ、すずき、しらうお、たちうお、ひらめ、あわび、いか、かき、くらげ かに、かき、しじみ、たこ
肉類 羊肉、鶏肉、鹿肉 牛肉、豚肉、鶏卵 馬肉
乳・乳類加工品 チーズ   牛乳、バター
野菜類 玉ねぎ、にら、しょうが、にんにく、ねぎ、かぶ、かぼちゃ、大根、高菜、しし唐辛子、しその葉、しその実、チンゲンサイ、みょうが、よもぎ、わさび、れんこん、ごぼう、にんじん 米、とうもろこし そば、小麦
果物 桃、ざくろ、きんかん、なつめ ぶどう、あんず、いちじく、かりん、干し柿 バナナ、マンゴー、パイナップル、なし、柿、すいか、いちご、メロン、びわ、みかん、りんご
藻類     青のり、昆布、てんぐさ、もずく、わかめ
嗜好飲料類 日本酒などのアルコール、紅茶、ココア、中国茶、ハーブ茶   緑茶、コーヒー
調味料・香辛料 みりん、からし、みそ、シナモン、こしょう、さんしょう、とうがらし、クローブ、八角 しょうゆ、食塩 合成酢

温性の食事は、体を温めるだけでなく冷えた状態から回復しやすくしてくれる。

食性を科学的に調べるため、女子栄養大学と北里研究所が共同で行った実験をご紹介します。

温性の食品を食べると・・・
血液循環がよくなって体があたたまる

まず健康な女子大学生8人(20.6±0.7歳)に、体を温めるとされる温性の食事(1812kcal/日・温性食品の重量比53±13%)を5日間とってもらいました。この食事は、もち米、あじ、鶏肉、しょうがなど温性の食品の割合が、ふだんの食事の約3倍になっています。その結果、温性の食品を食べたあとは、安静時の体表温度が高くなることがわかりました。

いったん冷えても体表温度が回復しやすい

次に冷水に手を30秒間つけて、そのあとの体表温度の変化を比較しました。すると、温性の食品を食べた人は、冷水に手をつけたあとの体表温度の回復率が高くなることもわかりました(グラフ参照)。

以上のことから、温性の食品を食べると、体が温まるだけでなく、いったん冷えても、体温が回復しやすくなることが確かめられたのです。

冷水に手をつけたあとの体表温度の回復

監修者紹介

渡邉 賀子(麻布ミューズクリニック院長・医学博士)
久留米大学医学部卒業。熊本大学第三内科に入局。1997年、北里研究所にて日本初の「冷え症外来」を開設。2003年、慶應義塾大学病院漢方クリニックにて、女性専門外来「漢方女性抗加齢外来」を開設。現在も引き続き担当している。慶應義塾大学医学部漢方医学センター非常勤講師。漢方専門医・日本東洋医学会指導医。

渡邉先生からのメッセージ

「冷え性」は西洋医学では病気と考えられていませんが、実際には冷え症状のために日常生活に支障をきたしている人も多いのです。
寒い季節だけでなく、夏の冷房でも「冷え」を感じることはあり、季節を問わず悩んでいる人も多いと思いますが、実はちょっとした生活習慣や環境の改善で、軽くすることもできるのです。

渡邉 賀子先生

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