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体温を生み出すのに重要なのは、運動と食事。子どもの食生活にも注意が必要です。

監修:前橋 明 (早稲田大学人間科学部 教授)

早起きして朝食しっかり

朝食を毎日とる。このあたりまえの習慣ができていない子が増えている。

健康生活の基本は、しっかり食べて、体と心をよく動かし、ぐっすり眠る生活です。以前の日本人なら、少なくとも子どものころは、だれでもできていたことだと思います。しかし、今日では事情が違うようです。11歳では、朝食を食べない子どもは2割程度いますが、朝食を欠食する傾向は、高校卒業時6割を超えるまでに習慣化されていきます。
11歳の場合、午後10時以降の就寝が約8割を超え、夜食をとる子どもは4割、睡眠不足を感じるという子どもは3割もいるのです。このような生活が早起きを難しくし、朝食の欠食に結びついているとも考えられます。
食事という面では、夜食をとる子どもたちの増加が問題です。夜食をとると夜に元気になり、結果的には遅寝の夜型生活になりやすいのです。そこで、「夜食を食べない工夫」についてアンケート調査をしたら、この表のようになりました。問題改善のヒントになるものがあると思いますので、参考にしてください。

夜食を食べない工夫

1 夕食をしっかり食べさせる 288名(38.2%)
2 早く寝かせる 224名(29.7%)
3 朝・昼・夕の三食のバランスよく食べさせる 89名(11.8%)
4 親が夜食を食べない 49名(6.5%)
5 夜食になるようなものを買わない 35名(4.6%)
6 家族で協力して夜食は食べない習慣にする 24名(3.2%)
7 おやつは決まった時間に与えるようにする 15名(2.0%)
8 歯磨きをさせる 15名(2.0%)
9 日中に運動をしっかりして夕食にお腹をすかせる 14名(1.9%)
10 決まった時間に夕食を食べさせる 13名(1.7%)
10 食べ物があるところに行かせない 13名(1.7%)
10 栄養のバランスを考えた食事を食べさせる 13名(1.7%)

体温を生み出すのは運動と食事。

体温を生み出すのに重要なのは、運動と食事です。筋肉を動かして運動をすると身体が熱くなりますが、これは骨格筋の運動が熱を発生させているからです。1日の熱産生量の50〜60%は、骨格筋による代謝だとされています。また、食事は体内でエネルギーを生み出すため、体温を発生させるモトになります。
人の体温は、食事や運動などによる熱産生と、環境、気温、発汗などによって体内の熱を放散する熱放散のバランスで成り立っています。このバランスをとっているのが自律神経ですが、朝食をとらず、運動もしないという、あまりにも熱産生が少ない状態では、バランスをとるのが難しくなるのです。

正常な体温をささえる朝食は、子どもの心身の発達に大きな役割を持っている。

実際、朝食を食べない子では体温が低くなっているという報告があります。この報告によれば、朝食を抜いている子どもは、鼓膜温が低く、日中に眠気を感じており、通学意欲も低いとされています。
キレる子、イライラする子、疲れやすい子に共通した特徴は、食生活が乱れていることです。子どもたちの問題行動は、年ごとに低年齢化しており、いまでは幼児期にも、その一端が見受けられます。
子どもたちの発達相談や健康相談に携わっていますと、そのような子どもたちには、共通して「休養」「栄養」「運動」という健康を支える3要素が、しっかり保障されていないという背景に気がつきます。なかでも、1日のスタートを快く切るための朝の食事がしっかりしていません。欠食したり、食べさせてもらっても、菓子パン程度のものであったりして、食生活が乱れているのです。
また、食事は栄養素の補給だけをするものではありません。家族のコミュニケーションを図る絶好の機会ともなり、心の栄養補給もしてくれるのです。「食」は、「人」に「良」いと書きます。人を良くすることを育む貴重な機会なのです。子どもたちが良く育つためには、食の場はきわめて重要なのです。

毎朝の快食・快便を習慣づけて心身のコンディションを良好に維持しよう。

朝の排便習慣をもつ子どもが減少しています。家で、朝に排便をして登園・登校する子は4割もいません。朝食を欠食し、保育園や幼稚園に着いてからボーッとしている子どもが目立ってきました。このような子どもは、きまってウンチをしていません。
朝食を食べなかったり、食べてもスナック菓子程度であったりすると、便の重さも量も不足し、便秘がちになってしまいます。朝、排便を済ませていないと、日中、充分に筋力を発揮できず、快適に活動できないこともわかっています。
排便の不調は、充分な食事量と時間的なゆとりをつくることで、解決できそうです。そのためには、早めに就寝し、充分な睡眠を確保することが欠かせません。早起きをして胃が空っぽのところへ食物を入れれば、大腸が動き出して便意をもよおします。朝食を食べても、出かけるまでに30分はないと、排便に至らないことが多いようです。早く起きて、朝の時間は、食事をゆったり取れるようにしましょう。

食事のチェックで、あたたかい親子・家族のきずなを深めよう。

食生活を見直して、家族全員が食事を楽しむためのチェックをしてみましょう。

(1)子どもの食べ方チェック

お子さんの食べ方をチェックしてみてください。

  1. 「いただきます」をして、食事を始めていますか?
  2. 楽しそうに食べていますか?
  3. よく噛んで食べていますか?
  4. 落ち着いて食べていますか?
  5. 食事やおやつを決まった時間に食べていますか?夕食直前のおやつはダメだよ!
  6. 家族の人とかかわりをもって食べていますか?テレビを見ながらの食事はダメだよ!
  7. スプーンやフォーク(1歳半)、おはし(3歳以上)を使って食べることができていますか?
  8. 食事が終わったら、「ごちそうさま」をしていますか?

(2)食欲や健康づくりにつながる子どもの生活チェック

食欲や健康づくりにつながるお子さんの生活をチェックしてください。

  1. 夜は、9時ごろまでに寝るようにしていますか?
  2. 朝、ウンチをしていますか?
  3. 歩いて、通園やおつかいができていますか?
  4. 身体を動かす運動あそびをして、汗をかいていますか?
  5. 戸外を好んで遊んでいますか?
  6. 友だちと関わっていっしょに遊んでいますか?
  7. 身体を動かすお手伝いができていますか?
  8. 夜は、お風呂に入ってゆったりとできていますか?

(3)保護者の自己点検

今度は、保護者の方の自己点検です。食事づくり、食べ物の組み合わせ、生活をふり返ってチェックしてみましょう。
  1. 味のついていない白いごはん・パンの主食(食事の中心で炭水化物を多く含み、エネルギー源になるもの)はありましたか?
  2. 魚や肉、卵、大豆製品などを主材料にした主菜(主なおかずのことで、たんぱく質や脂質を多く含み、エネルギー源 になるもの)はありましたか?
  3. 野菜やいも、海草などを主に使った副菜(カルシウムやビタミン、食物繊維などを多く含み、食事全体の味やいろど りを豊かにするもの)はありましたか?
  4. うす味を心がけましたか?
  5. 食の材料をうまく組み合わせてみましたか?
  6. 子どもの発育・体調に合わせて、食事の種類や量、大きさ、固さを工夫していますか?
  7. お子さんの自分で食べようとする意欲を大切にしていますか?
  8. 食事について、家族や身近な人と話をして、良いアイデアを参考にしていますか?

以上のチェック項目は、家族みんなの心がふれ合って、味わいのある食事ができるようになるために、健康生活上、必要と思われる事柄を考えてみたものです。この24項目のうち、親子ともにできている項目を数えて、その数を健康点数として記録し、今後、少しずつ、今より良い展開ができるよう、意識して生活をしてみましょう。きっと、毎日、子どもの笑顔でいっぱいになることでしょう。

監修者紹介

前橋 明(早稲田大学人間科学部 教授)
1977年南オレゴン州立大学卒業。倉敷市立短期大学教授、米国バーモント大学客員教授・ノーウィッジ大学客員教授等を経て、2003年4月から現職。医学博士(岡山大学医学部)。

前橋先生からのメッセージ

「食べて、動いて、よく寝よう!!」
これが、生きる力の基盤となる自律神経を鍛え、体温調節のできる子どもを育む秘訣です。
子どもたちの心やふれあいを育てるためには、家庭における『食』を、自律神経を鍛え、生きる力を育むためには『運動』を、キレないで情緒や精神を安定させるためには『睡眠』を、生活の中で努めて大切にしていかねばならないのです。

前橋 明先生

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