なぜ体温は37℃なのか?このページを印刷する

人の体温は、約37℃に保たれています。その理由を、他の動物との比較や、代謝との関係などから探ります。

監修:入來正躬 (山梨大学名誉教授)

なぜ体温は37℃なのか?

人は体温がほとんど変化しない「恒温動物」。

日本人の体温(平熱)は、平均36.89℃とされており、1日のうちの体温変化は、ほぼ1℃以内におさまるのが普通です。人の体温は、約37℃に保たれているのですが、それはなぜでしょう?その答えを出す前に、他の動物の体温はどうなっているのか、調べてみましょう。

人などの哺乳類や鳥類は、ほとんど体温が変化しないので「恒温動物」と呼ばれます。これに対して、トカゲなどの爬虫類、カエルなどの両生類、フナなどの魚類、ヤツメウナギなどの円口類は、周囲の温度の影響を強く受けて、体温が大きく変化しますので「変温動物」と呼ばれます。
人は体温がほとんど変化しない「恒温動物」。

人はエネルギーの75%以上を体温維持に使っている。

「代謝」というのは、体内で起こる化学反応のことです。食べ物からの栄養をエネルギーに変えて運動をするといった、生命維持にとって重要な活動も、代謝にあたります。このとき運動に直接使われなかった、残りのエネルギーは、熱となります。人の場合、エネルギーの75%以上が熱に変換され、体温の維持に用いられています。

恒温動物の代謝量は変温動物の約4倍あるといわれます。恒温動物(温血動物)は、作りだした熱により、まわりの環境より高い体温を維持できますが、体内で熱をあまり作れない変温動物(冷血動物)は、外部から熱を取り入れることで、必要な熱量を獲得しています。

また魚でもマグロは、休みなく高速で泳ぎ回ることにより、筋肉から熱を生み出しているので、体の中は、比較的高い温度に保たれているのです。
人はエネルギーの75%以上を体温維持に使っている。

人の体温調節のリモコンは、脳の中に隠されている。

人が寒い戸外に出て寒いと感じるとき、その情報は神経を 通って、脳の中にある「視床下部」という部分に伝えられ、そこで温度に関する情報処理が行われます。そして視床下部から指令が出され、神経を通って皮膚に伝えられることで、皮膚の血管が細くなり、皮膚から逃げる熱が少なくなります。寒いときに顔色が青く見えるのは、皮膚に運ばれる血液が少なくなっているからです。視床下部は、体じゅうの温度をリモコンでコントロールしているのです。

視床下部は自律神経系の中枢であり、体温の標準となる温度を決めて、常に体温を一定にするように働いています。そして熱を作り出す(産熱)か、熱を放出する(放熱)かの指令が視床下部から出されます。

寒いときに体が震えるのは、筋肉を動かして体温を上げるため。また寒いとき汗腺は閉じますが、逆に暑いときは、汗をかいて皮膚表面をぬらし、熱を逃がして体温を下げます。これらの体温調節反応は、視床下部からの指令によって行われているのです。
人の体温調節のリモコンは、脳の中に隠されている。

体温37℃が、ちょうどいい理由。

では、体温はなぜ37℃なのか?じつは、その理由はハッキリとは分かっていません。しかし、理由を推測することはできます。先ほど、「代謝」は体内で起こる化学反応で、食べ物からの栄養をエネルギーに変えるなど、生命を維持するのに重要な役割をはたすと書きました。
代謝は化学反応の一種ですから、一般的な化学反応の法則にあてはまります。化学反応は一般に、温度が高いほど活発になります。つまり、体温が高いほど代謝は活発になり、効率的に行われるはずです。

しかし体温は高いほどいいかというと、そうではありません。細胞の温度が42℃を超えると、体内の酵素系の障害が起こり始めるので、これを超える高い温度は好ましくないのです。つまり最適な体温は、できるだけ高いほうがいいのですが、一方では生命がおびやかされる42℃のレベルからは充分に離れていることが求められます。

約37℃という体温は、少々の発熱では42℃に届かないという条件で、充分に高い、つまり、ちょうどいい温度といえるのです。

では体温がどれくらい下がるまで生命が持ちこたえられるかというと、その限界は37℃からは大きく離れていて、大体20℃近くで心臓の動きが阻害され、生命がおびやかされると考えられています。
体温37℃が、ちょうどいい理由。

監修者紹介

入來正躬(山梨大学名誉教授)
1960年東京大学医学部大学院修了。フンボルト奨学生としてドイツ・マックスプランク心臓研究所に留学。山梨医科大学生理学教授、山梨県環境科学研究所長を経て、ひかりの里クリニック理事長・院長。

入來先生からのメッセージ

体温は、今でも身体の状態を知るいい目印としてひろく使われています。身体の調子が悪いと、体の温度は高くなったり、低くなったりします。病気なのかどうか、病気がよくなっていくのか悪くなっていくのかの見当をつけるのに体温が使われています。体温を間違いなく判断できるように、学んで下さい。

入來正躬先生

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