平熱は誰でも同じですか?

公開日2021.08.30

※当コンテンツの内容は2021年7月時点の情報となります。

子どもの平熱はやや高く、高齢者はやや低めです。自分や家族の平熱を知っておきましょう。
監修:永島 計 早稲田大学人間科学学術院 体温・体液研究室 教授(医師、博士(医学))

平熱には年齢差があります

子どもの平熱は、やや高めです

一般に、子どもの平熱はやや高めです。
とりわけ乳幼児は、体重あたりの熱産生量が多いため、もともと体温が高めです。そのうえ、成人では体表から測る腋窩温などは体の中心の温度(コア温)より低いのですが、乳幼児では筋肉や皮下脂肪が発達していないため、コア温に近い値になります。
乳幼児は一方で、体温調節機能が発達していないことや、前に述べた解剖学的な特徴から、体温は環境の温度が高ければ上がりやすく、かつ低ければ下がりやすい特徴を持っています。また、ちょっとした身体活動でも体温は上がりやすくなります。

高齢者の平熱は、やや低めです

高齢者は、加齢に伴って熱産生量が減少し、体温調節機能も低下するため、体温が低い傾向にあります。同時に、寒さによって体温が低下しやすくなります。その一方で、暑い環境では高体温に傾きやすくなっています。これは、発汗や皮膚血流調節の機能が低下しているためです。
子どもや高齢者の体温には、一般にこのような特徴がみられますが、同じ年齢でも平熱は人によって異なります。平熱には、身長や体重と同じように個人差があるのです。

監修者紹介

永島 計

早稲田大学人間科学学術院 体温・体液研究室 教授(医師、博士(医学))

1985年京都府立医科大学卒業。京都府立医科大学附属病院研修医、修練医、大阪鉄道病院レジデントを経て、京都府立医科大学大学院博士課程(生理系)修了。京都府立医科大学助手、YALE大学医学部・John B Pierce研究所ポストドクトラルアソシエート、王立ノースショア病院オーバーシーフェロー、大阪大学医学部助手•講師、早稲田大学助教授を経て、2004年から現職。日本スポーツ協会スポーツドクター、日本医師会認定産業医。

永島先生
からのメッセージ
人に限らず体温は生きていく上で非常に重要な要因です。感染症の蔓延(まんえん)によって、発熱や体温計について日常的に人々の話題にのぼるようになりました。しかし、体温は、発熱時だけの問題でなく、われわれのふだんの健康に密接にかかわっています。われわれが、生をうけて、死ぬまで高い温度に維持される体温のしくみを説明していきます。次に、平熱と呼ばれるふだんの体温を知るための測定の方法について解説をします。最後に、感染症の有無の最初の判断材料となる発熱について説明し、対処方法や体にとってどのような意味があるかを知っていただきたいと思います。
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