電子体温計の予測精度の検証このページを印刷する

相原弼徳 (元横浜市立大学・医学博士)

相原弼徳先生の研究テーマのなかから「電子体温計(30秒計)の予測精度」に関して、ご寄稿いただきました。

相原先生が、日本温泉気候物理医学会雑誌(第72巻2号2009年2月)に発表された論文「電子体温計(30秒計)の予測精度について」は、日本国内で市販されている予測式電子体温計について臨床上の有用性を知る目的で予測精度を検証したものです。主要各社の体温計の精度が検証・比較され、問題点の指摘等も含めて論評されております。
このほど、相原先生からこの論文をやさしく解説した内容を当研究所に寄稿していただきましたので、ご紹介いたします。

※予測精度とは、「同じ部位で、ワキ下では10分間以上実測した値に対する誤差」を言い、±0.2℃以内の割合とされています。

※相原先生のオリジナル論文には、テルモ社及びテルモ社以外の製品の精度と比較に関する記述がありますが、その内容を取り上げた場合、医薬品等適性広告基準に抵触する可能性があるとの判断から、当ウェブサイトでは、テルモ社製のみ取り上げ、一般名称を用いての記述とさせていただきましたのでご了承ください。

電子体温計の予測精度を調べる必要性について

日本では、多くの場合、体温計を腋窩(ワキ下)にはさんで測ることが習慣となっています。腋窩部は、サーモグラフィを用いて見ると腋窩動脈上が最も高く、周辺になると低下する温度勾配をもっています。本来腋窩(ワキ下)での体温測定は、腋窩を閉鎖することによって、からだの深いところから伝導・血流により送られてくる熱で温められたワキを測定することであり、腋窩の深部から滲出(しんしゅつ)する熱により均一化した部分の温度を測ることで、体の中心部の温度に近似した温度を得ることができます。測定時間が短いと正確な温度を測ることができません。しかし、しっかり閉鎖腔をつくってその部位で測定すれば、高い精度で核心温を反映することが知られています。したがって腋窩温は臨床上用いるに十分な値が得られます。(図1〜3を参照。)

電子体温計を用いた測定は、実測値以外に予測値を得ることができます。実測値はこれ以上あがらない温度(平衡温)まで測りますが、予測値は平衡温になるまでの温度上昇を予測・演算することによる値を示しますので、短時間で結果が得られます。(図4参照)

しかし、体温計を当てる位置によって同じ様に上昇するとはかぎらない、体温測定開始時、腋窩に熱が蓄積されている状態と、腋窩に熱が蓄積されていない状態では温度上昇に違いがでる、また電子体温計でのワキ下の体温測定が不正確であるという報告があり、予測精度に疑問が投げかけられています。

そこで、市販されている予測式体温計を用いて予測精度を検討しましたが、ここでは90秒予測計と30秒予測計についての精度比較を行いました。

対照とした90秒予測式電子体温計は、医療の臨床現場で長年、広く用いられており、実測10分値と90秒予測値の精度については1996年に比較を行い、報告しています。

※相原弼徳, 烏山直樹,相原まり子, 雨宮愛:体温上昇に着目した腋窩温測定の試み.日温気物医誌 1996;59(2):110-120.

図1 1〜4の測定ポイント 図2 腋窩を閉じていたものを、上腕挙上1分後の温度低下

図3 腋窩の最高温部

図4 腋下における予測式電子体温計の機能イメージ図

筆者紹介

相原弼徳(元横浜市立大学・医学博士)
研究分野:分子生物学 、環境生理学(含体力医学・栄養生理学) 、法医学など

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