鈴木 達彦、和田 優子、鍵谷 英明、和田 耕治
テルモ株式会社マーケティング室、テルモ株式会社ヘルスケア事業部テルモ体温研究所、テルモ株式会社安全情報管理部市販後調査課、北里大学医学部衛生学公衆衛生学
第68回日本公衆衛生学会総会抄録
目的
新型インフルエンザ等の流行に際し、不特定多数の中から発熱者を特定し、入場の制限などを行うことで感染の拡大予防ができる可能性がある。本研究所では、公共空間における不特定多数を想定した体温測定手法の妥当性について検討した。
対象と方法
2009年2月上旬に東京都にて18〜80歳未満の健常なボランティア50名(男女1:1、平均40.6±15.9歳)に対して本研究の趣旨について文書を用いて説明し、全員から同意を取得し被験者とした。体温の基準値測定にT社製腋下体温計を用い、比較用にA法:T社製耳式体温計(被験者自身による測定)、B法:同体温計(係官を模した他社による測定)及びC法:N社製サーモグラフィ(頭顔部の最高温を測定)を用いて、各被験者毎に季節に応じた服装をさせて測定した。測定の手順は、まず未馴化条件として被験者を室外環境[平均12.6℃]にて安静状態で20分間待機させた後、測定スペースにて上記の4手法で測定し、20分間の待機を含めこれをもう1度繰り返した。その後、馴化後条件として室内環境[平均20.1℃]にて未馴化条件と同様に待機させて測定した。データ解析は SPSS Statistics 17.0を用い、平均値の差の検定には対応のある2元配置分散分析、ROC(receiver operating characteristic)の曲線下面積(AUC)と標準誤差を算出し有意性を検証した。
結果
未馴化条件の体温はA法36.0±0.8℃、B法35.8±0.9℃及びC法32.3±0.9℃と、基準法の36.7±0.3℃に対し有意に低値であった(各p<0.01)。馴化条件ではA法36.6±0.5℃、B法36.4±0.6℃及びC法35.7±0.5℃と、基準法の36.6±0.3℃に比べてB法及びC法のみ有意に低かった(各p<0.01)。手法毎の未馴化・馴化条件間での体温の相関係数は、基準法0.68、A法0.77、B法0.78、C法0.32であった(各p<0.01)。各被験者の基準値における中央値(36.7℃)以上を各手法で検出することを想定したROC曲線のAUCは、未馴化条件ではA法0.62±0.06(p<0.05)、B法0.67±0.06(p<0.01)及びC法0.65±0.06(p<0.05)といずれも有意であったが、馴化条件ではA法0.74±0.05及びB法0.72±0.05のみ有意で(p<0.01)、C法は0.57±0.06(p=0.24)と有意ではなかった。
結論
耳式体温計は未馴化の場合でも腋下体温計との差が小さく、環境温度の影響を受けにくいことが示唆された。
体温は、ご家庭にある体温計で誰でも気軽に測れるもっとも身近な体調チェックの手段です。







