体温ってなあに?正しい体温の測り方このページを印刷する

テルモ株式会社 テルモ体温研究所所長 和田優子

体温とは?

体温とは、文字どおり、体の温度のことを意味しています。体の中心に近づくほど高くて、安定しています。
人の体は、場所によって温度が違います。手足の末梢や顔の表面の温度は、季節や環境の影響を受けやすいため安定していません (図1)(※1)。
一方、中枢(核心)と呼ばれている体の内部の温度は、脳や心臓などの大切な臓器の働きを保つために安定しています。この体の内部の温度を「中枢(核心)温」といい、これを測れば、安定した体温が得られます。しかし、体の内部なので、日常的に測ることは困難です。
そこで、より体内の温度が反映され、体に負担をかけずに簡単に検温できる部位として、ワキ(腋窩)、口(舌下)、耳(耳内)、直腸などの場所が用いられています。
測定する部位ごとに検温に必要な時間や方法は異なり、得られる温度も異なります。平熱も部位によって異なるため、それぞれの部位の平熱を知る必要があります。つまり耳には耳の、ワキにはワキの平熱があるので、あらかじめ知っておくことが大切なのです(※2)。
図1 体の内部の仮想温度分布と検温に必要な時間

正しい測り方って?

ワキの温度は、そのままでは「体の表面の温度」ですが、しっかり閉じることで温まり、体の内部の温度が反映されます。十分に温まったときの温度を平衡温(へいこうおん)といい、これを測るのが正しい検温です。平衡温に達するには、ワキを閉じてから10分以上かかります。この10分間は、十分にワキが温まるのに必要な時間で、体温計が温まるのに必要な時間ではありません(図2)(※2)(※3)。
10分以上必要なワキの検温。でも、「予測式」ならはやく測れます。
水銀体温計(ガラス製体温計)は、温まると膨張する水銀の特性と、留点(りゅうてん)(上昇した水銀糸をそのまま留めておく構造で、毛細管孔の一部を極端に狭くし、水銀が冷えても水銀が下がるのを防ぎ、測った値を保持する)の構造を利用し、最高温度を測定するものです。ただし、水銀体温計はガラスでできているために、割れて水銀やガラスが飛散する危険があるという欠点があります。この欠点を解消した電子体温計は、先端のセンサーで温度を感知し、体温を測定するものです。電子体温計には、「実測式」と「予測式」があります。
「実測式」は、水銀体温計と同様に、変化している温度がそのまま表示されるものです。たとえば、2分でワキから取り出せば、2分間温めた最高温度が表示されるわけです。
図2 平衡温に達するまでの体温上昇カーブとワキ(腋窩)のサーモグラフィーと検温に必要な時間

テルモで実施した実験によれば、「実測式」で3分間検温した場合には0.28〜0.62度(平均0.45度)、5分間検温した場合でも0.13〜0.33度(平均0.23度)、それぞれ10分間、実測検温したときの値より低いという結果が得られています。 さらにバラツキ(分散)も大きく、短時間の検温では誤差が大きいことがわかります。この結果より、水銀体温計でも「実測式」電子体温計でも、10分以上の検温が必要であるといえます(※4)。
一方、「予測式」は、平衡温を短時間で予測・表示する方式です。テルモの「予測式」体温計(平均90秒計)では、90秒(平均時間)で予測した値と、10分間、実測した値との誤差は、0.01度±0.13度(平均値±標準偏差)と、高い予測精度が得られています(※4)。
テルモで、検温時間の実態調査を行いました(1年以内に体温計を購入された方1,000名を対象に2008年実施)。その結果、「予測式+実測式」体温計を購入された方(703名)については、ほとんど(99.4%)の方が、予測検温終了のブザー音で測定を終了されていました。
一方、「実測式」体温計を購入された方(297名)では、平衡温に達するに必要な10分以上測定した人は、わずか2%しかいませんでした(※5)。
平衡温に達する前に測定を中止する理由としては、検温中に「正しく測定中」「検温値が平衡温に近づいている」ことなどを表わすブザー音が、測定開始から数分後に鳴るため、これを測定終了の合図と誤解していることが考えられます。

1.予測式+実測式電子体温計のしくみ

テルモの「予測式+実測式」体温計は、1,000例あまりの体温測定データを記憶したマイクロコンピューターを内蔵しています。
このマイコンが、体温の上昇を細かく分析/演算し、機種により、平均20秒、30秒、90秒(予測検温)で平衡温を予測します。
さらに、予測成立の電子音が鳴っても、そのまま測り続けると、自動的に「実測式」体温計に切り替わり、実測式で測定した体温の値を表示します。ちなみに市場に出ている「予測式」体温計のうちでも、熱を感知する体温計先端のセンサー部の構造やマイコンにより、体温の上昇を分析/演算する方法などは、メーカー各社で異なっています。
また、電子体温計には、水洗いできるもの(防浸)と、できないもの(一部防浸)があります。

2.ワキでの正しい検温方法

検温中は動かずに、じっとしているのが基本です。

  1. (1) ワキのくぼみの中央に斜め下から体温計の先端をあてます。
  2. (2) 体温計が体軸に対して30度くらいになるように角度を調節して、ワキをしっかり閉じます。
  3. (3) 平衡温になるまで、水銀体温計や「実測式」体温計は10分以上、「予測式」なら電子音がなるまでじっとしています。

途中で体温計を取り出したら、最初からやり直しです。「予測式」では、すぐにくり返し検温する場合は、少し時間をあけてください。

図3 ワキでの正しい検温方法

3.測る前の注意

◆飲食や入浴、運動などの後、および外からの入室後30分間は検温に適しませんので避けてください。
◆測る前には、必ずワキの汗はしっかりふき取りましょう(特に子どもは汗っかきなのでご注意ください)(図3)(※2)。
ワキでの検温法が、実際に正しく行われているか、テルモで実態調査を実施しました(体温計を1年以内に購入した方1,000名を対象に2008年実施)。その結果、正しいとされる「斜め下」から体温計を入れる検温法をしていた人は、3割ほどでした。全体の約3分の2の人は、「真横」や「斜め上」から体温計を入れる望ましくない検温法をしていました(図4)(※6)。
体温計の検温法の違いによる体温値への影響は、例えば正しいとされる「斜め下」からと比べて、「真横」からでは約0.3度低い、(つまり正しい平衡温を測れていない)という結果があります(※7)。

図4 全体の3/2の人は、望ましくない検温方法だった

4.耳式体温計のしくみ

耳式体温計は、耳の中から出ている赤外線をセンサーが瞬時に検出することで、耳内温をたった1秒で測ります。耳内温とは、耳の中の鼓膜、およびその周辺の温度のことをいいます。
体からは体温に相当する赤外線が出ているので、赤外線量を検出することで、体温が測れるのです。

5.耳での正しい検温方法

検温中は動かずに、じっとしているのが基本です。

  1. (1) 専用プローブカバーをつけ、電源を入れます。
  2. (2) しっかり耳に入れます。耳の奥(鼓膜)の方向にできるだけ深く(いつも一定の角度・深さで)入れます(図5)。
  3. (3) スタートボタンを押します。スタートボタンを押すとき、体温計が動かないようにします(通常モードの場合、ブザーが鳴ったら終了です)。
  4. (4) 寒い部屋での検温を避けてください(※2)。

図5 耳式体温計の正しい検温法

平熱って何?

体温には、年齢による差があります。個人差もありますが、子どもはやや高く、高齢者はやや低めです(図6)(※8)。
また、乳幼児は熱産生が活発ですが、体温調節機能がまだ十分に発達していないため、熱放散がうまくゆかず、日常生活でも体温が高めの傾向があります。
さらに、体温は、熱が出る病気にかかっていなくても、運動、時間、気温、食事、睡眠、女性の性周期、感情などにより変動しています。
図6 成人と老人のワキ(腋窩)温の比較

人には、朝・昼・夜と、24時間単位に体温が変化する体温リズム(概日リズム)があります。1日のうちで早朝が最も低く、次第に上がり、夕方に最も高くなります(図7)(※9)。
さまざまな条件で変動する体温。その平熱の範囲を知ること、時間を決めて平熱を把握することが、体調管理に大きく役立ちます。
日本人の体温の平均値は、36.89度±0.34度(ワキ下検温、10〜50歳の男女3,094名、検温時間30分)とされており、36.6〜37.2度の間に入る人が、全体の概ね68%を占めます。つまり、平熱が37度くらいの人もそれなりにいるということです(※10)。
図7 1日の体温リズム(例)

一方、高齢者の体温は約0.2度ほど低く、36.66度±0.42度とされています(65歳以上男女2,470名)(※8)。
また、一般的に1日の体温リズム(概日リズム)による変化は、通常1度以内におさまります。
先に述べたように、測定部位、測定法によって、得られる温度は異なるため、平熱は常に、同じ測定部位、測定法によって測る必要があります。
このように、体温には個人差があり、一概に何度以上が発熱と決めることはできません。
それぞれの人が、元気なときの平熱と体温リズムによる変化の幅(日によって、または時間によっての差)を予め確認しておき、それ以上の温度上昇をもって、発熱と考えるべきでしょう。平常時の体温より0.5〜0.7度の温度上昇をもって、発熱と判断するとする文献もあります(※11)。
ちなみに感染症法では、37.5度以上を発熱、38.0度以上を高熱と分類しています。

平熱の測り方

平熱の測り方として、起床時、午前、午後、夜の計4回体温を測り、この体温値を時間帯ごとの平熱としておぼえておくとよいといわれています(ただし、食後すぐは体温が上がりますから、食前や食間に検温するのが適切です)。平熱の測定は、体調の良いときに、1日だけでなく、日をあけて何日間か測ってみるとよいでしょう。
体温は、誰でも測れる最も身近な体調チェックの手段です。正しく測定して、より有効に体温を活用し、健康管理に活かしてください。
当ホームページでは、子どもの低体温、食事と体温の関係をはじめとして、体温に関するさまざまな情報を掲載しています。ぜひご覧ください。

参考文献

  1. ※1 Aschoff J:Wever R.Kern und Schale in Warmehaushalt des Menschen, Naturwissenschaften. 1958;45:477-485.
  2. ※2 三川宏監修『知っておきたい体温の話』テルモ株式会社、2006
  3. ※3 村本裕「電子体温計」『臨床体温』1993、13(1)、10〜18頁
  4. ※4 君島邦雄ほか「テルモの予測式電子体温計について」「人間の医学」1994、129(6)、402〜409頁
  5. ※5 テルモ体温研究所「電子体温計について
  6. ※6 テルモ体温研究所「発見! 体温を正しく測れている人は少ない?
  7. ※7 相原まり子ほか「電子体温計による腋窩温測定について」『日本女子衛生短大紀要』1986、6、42〜46頁
  8. ※8 入來正躬ほか「老人腋窩温の統計値」『日老医誌』1975、12、172〜177頁
  9. ※9 ScalesEW,VanderAJ,BrownMB et al:Human circadian rhythms in temperature,trace metals,and blood variable,JAppl Physiol.1988;65:1840-1846.
  10. ※10 田坂定考ほか「健常日本人腋窩温の統計値について」『日新医学』1957、44(12)、635〜638頁
  11. ※11 宮崎千秋「小児の微熱」『小児看護』1987、10、190〜193頁

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