公開日2021.08.30
※当コンテンツの内容は2022年11月時点の情報で更新しました。
監修:草川功(聖路加国際病院 小児科 診療教育アドバイザー)
目次
熱の出始めは寒気がするので、1枚多く着せたり、毛布でくるむなどして温めましょう。
熱が上がりきると、体がほてり汗をかくので、着ている服を薄手のものに替えるなどして調節します。体温を下げるためには、ぬるま湯で体を拭いてあげるのも効果があります。
熱が40℃以上あるときは、ワキの下、首の周り、足の付け根を冷やします。嫌がる場合は、冷凍庫などで冷やした大きめの保冷剤をタオルでくるみ、背中にあてて抱っこしてあげるのも効果があります。
ただし、体に貼り付ける粘着タイプの冷却シートの場合、涼感はありますが、体温を下げる効果は期待できません。小さな子どもの場合は、鼻や口を圧迫し窒息する場合がありますので、使用には気をつけてください。
また、体温が42℃を超すと脳細胞はダメージを受けますので、この場合はとにかく冷やしたほうがよいでしょう。一方、38℃以下で強く冷却すると低体温になる可能性があります。とくに、解熱剤を使用しつつ冷却する場合は、冷やしすぎに注意し、小まめに体温測定をしましょう。
昔は熱があると厚着にさせたものですが、これは熱がこもるのでよくありません。熱があるときは、やや薄めの、着がえやすいものにしましょう。しかし、熱の上がり始めは寒がったり、手足が冷たくなったり、唇の色が悪くなったりしますので、その場合は掛け物をしてあげましょう。
湯船につかると体力を消耗するので、入浴は控え、シャワーでさっと体を流す、あるいは、お湯で絞ったタオルで体を拭いてあげる等で対応しましょう。
脂分の多い食事は消化が悪いので、炭水化物や消化のよいたんぱく質を選びます。おかゆやうどん、フルーツ、ゼリーなどがおすすめです。
食欲がないのなら、無理に食べさせないでください。ただ、脱水になるといけませんから、水分だけは十分にあげてください。できれば経口補水液などで、こまめに水分補給をしてください。ヨーグルトやアイスクリームなども、ある程度は食事代わりになります。
解熱剤(熱さまし)を使う目的は、熱を下げるというよりも、 熱に伴う症状の緩和です。
子どもの機嫌がよく、水分が十分にとれているときは、無理に解熱剤を使う必要はありません。
体温が40℃くらいになると心配になりますが、高くても41℃くらいまでは、体の細胞への障害は少ないので様子をみましょう。
子どもがぐったりして水分が十分にとれない場合などは、解熱剤を考慮します。 目安は38.5℃以上ですが、それ以下でも元気がないようなときは使って差しつかえありません。
病気の勢いが強いときは、解熱剤を使っても、あまり熱が下がらないことがあります。でも熱以外の症状がやわらげば、平熱レベルまで下がらなくても心配はいりません。ただし、解熱剤の効果はそんなに長くは続きません。食事の前、服薬の前など、体温を少しでも下げてあげたいときを見計らって、目的をもって解熱剤を使用することも重要です。
発熱時は、水分補給が大切です。熱によって汗が多く出ますし、さらに下痢や嘔吐を伴えば、体は脱水状態になってしまいます。 水分を補給させる際は、下記の点に留意しましょう。
かぜやインフルエンザなどで胃腸が弱っているときに、冷めたい水や、一度にたくさんの水を与えると、胃腸症状を悪化させてしまう恐れがあります。水分は、時間をかけて少しずつ与えるようにします。
また、ミネラルを含んだスポーツドリンクや経口補水液をとることで、体外に排出された塩分などを補給することが可能です。
草川功
聖路加国際病院 小児科 診療教育アドバイザー
東京医科大学病院小児科、東京医科大学八王子医療センター小児科、国立小児病院麻酔集中治療科、米国ピッツバーグ小児病院麻酔科・呼吸生理研究室、東京医科大学病院新生児部門などを経て1992年より聖路加国際病院小児科。2005年より同病院小児科医長。2022年より現職。公益法人全国保育サービス協会会長、実践女子大学生活科学部非常勤講師など兼任。