新型コロナウイルスによる環境の変化と心因性発熱についてのアンケート 結果詳細・ドクター解説

公開日2021.08.30

※当コンテンツの内容は2021年7月時点の情報となります。

ここでは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行の前後で、人々の日常生活や行動に変化があったのかどうかを見ていきます。また、必ずしも一般的には知られていませんが、留意しておきたい「心因性発熱」について、現状を見てみます。
監修:岡孝和(国際医療福祉大学医学部心療内科学主任教授)

日常生活における体と心の健康の変化

3人に2人が、体や心の健康に変化を実感

Q. コロナ前と比較し、あなたの『健康に関する』日常生活・行動に変化はありましたか(ひとつだけ)

図1 体と心の健康の変化(n=1,400)

質問に対する回答結果は、図1の通りです。おおよそ3人に2人に相当する65.5%の人が、「体の健康」「心の健康」に関する日常生活や行動になんらかの変化があったと回答しました。このうち、「体の健康」と「心の健康」の両方に変化があったとする人が、32.6%となっています。また、「体の健康」に関する日常生活・行動に変化があった人は、22.1%と32.6%を合算して54.7%。一方「心の健康」に関する日常生活・行動に変化があった人は、同様の計算で43.4%でした。

Q. コロナ前と比較し、あなたの『心の健康に関する』日常生活・行動にどのような変化がありましたか(いくつでも)

1つ前の質問で「心の健康」に関する行動の変化があった、あるいは「体の健康」と「心の健康」両方に変化があったと回答した人を対象に聞いた質問に対する回答をまとめたものが図2です。

「外出の頻度が減った」と答えた人が67.1%と最も多くなりました。緊急事態宣言をはじめ、国や自治体による外出自粛の呼びかけがあったことも大きな要因でしょう。次いで「周囲に気を遣うようになった」(45.8%)、「ストレス発散のための消費が増えた」(23.1%)、「家族や恋人への連絡頻度が上がった」(22.9%)と続きます。

「心因性発熱」についての認識

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行後、認知度がやや上昇

Q. あなたは心因性発熱という病気を知っていますか。

図3 「心因性発熱」を知っているか(n=1,400)

精神的ストレスが原因となって体温が上昇する、いわゆる心因性発熱という病気について知っているかをたずねた結果をまとめたものが図3です。
「知らない」と答えた人が圧倒的に多数です。ただし、新型コロナウイルス感染(COVID-19)が流行する前と後で少し数値は異なり、流行前は「知らない」という人が80.9%だったのに対し、流行後は73.3%と、認知度がやや向上しています。体温への関心が高まったことの現れかも知れません。それでも、おおよそ4人に3人が「知らない」状況であり、まだまだ心因性発熱という病気に関する認知度が高いとはいえません。

調査概要はこちらから

監修者紹介

岡孝和

国際医療福祉大学医学部心療内科学主任教授

1996年九州大学大学院助手、1998-2002年ハーバード医科大学、2002年産業医科大学医学部講師、九州大学大学院医学研究院心身医学准教授を経て、2017年より現職、2018年4月より同大学大学院医学研究科臨床医学研究分野心療内科学教授、2020年より国際医療福祉大学成田病院心療内科部長を兼任。

岡先生
からのメッセージ
新型コロナウイルス感染症の流行によって、私たちの生活は大きく変化しました。普段は体温を測ったことのない人が、頻繁(ひんぱん)に体温を測定するようになったこともその一つです。心因性発熱という病気が、コロナ以前に比べて知られるようになったのは、そのためと考えられます。私の外来にも、以前には見られなかった「新型コロナのPCR検査が陰性なのに、37.5℃以上あったら会社に来ないようにと言われています。なんとかなりませんか」と駆け込んでくる患者さんもいます。
まず体温には個人差があり、平熱が37℃を超える人もいます。また体温は測定する部位や、同じ場所でも時間帯によって違います。さらに運動、食事、睡眠、ストレスの影響を受けます(部位によっては外気温、女性の場合は月経周期の影響も)。なので、37.5℃というのは一つの目安ではありますが、感染性もしくは心因性の発熱かどうかは、正確にはその人の普段の体温よりどれだけ上がっているかで判断すべきです(少なくとも、動物実験ではそうしています)。ただ、普通に生活している時の、同じ時間帯の体温の値を知っている人はまずいないでしょうから、目安となる数字は必要です。
体温が普段よりわずかに高い場合、運動、食事、睡眠のリズムが乱れている可能性があります。とくに睡眠と夜間の光を浴びる作業は大きな影響を与えます。ぐっすり眠れるためには、夜、体温は徐々に下がっていく必要がありますが、日中、太陽を浴びることが少ない生活が続くと、睡眠に向かって低下すべき体温が下がらなくなります。また夜の方が静かで能率が上がるからと、深夜、パソコンを使った仕事(モニター作業)をする習慣がつくと、脳は昼と勘違いして体温を上げてしまいます。微熱程度の高体温に困るようになったら、ストレス以外にも、このような日常生活を見直していく必要があります。
またこれからは、新型コロナウイルス感染症にかかったのち、いつまでも微熱程度の高体温が続くという人が増えてくる可能性があります。本来であれば、感染症にかかった後、炎症反応は自然に改善していき、それとともに発熱を含めた身体症状も改善していくはずですが、心理社会的要因が自然な治癒過程を阻害要因として働き、微熱が長引く場合があります。このような訴えで受診する患者さんを見ていると、阻害要因として作用しているのは、感染症にかかる前であれば、その人にとっては当たり前に行なっていた頭脳作業(仕事でなくともラインやインターネットも)や運動量の作業のことが多く、本人はよもやこのことで病気が長引くとは考えていないことが多いです。これは足首の捻挫と同じで、熱が引いて、安静にしていれば痛みも感じない状態になると、なんでもできそうに思いますが、本当に治癒していない間は、これくらい大丈夫だろうと少し歩いただけで、再び熱を持ってきて、捻挫の状態が一進一退するのに似ています。
いずれにしても、普段と違う微熱が見られる場合、医療機関に相談してください。
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