公開日2024.07.04
※当コンテンツの内容は2023年11月時点の情報となります。
テルモ体温研究所では、新型コロナウイルス感染症の流行前・拡大期・5類移行後における体温測定の意識変化についてアンケート調査を実施しました。体温測定の重要性に関する意識の変化について、紹介します。
監修:岡部信彦(川崎市健康安全研究所 参与)
目次
新型コロナウイルス感染症の流行前後で体温測定の意識は高まったのでしょうか?コロナ前(~2019年)とアンケート実施時点を比較して、体温を測ることへの意識が変化したかどうかを1000人にアンケート調査しました。
今回のアンケート調査では、コロナ前と比べて「体温測定に対する意識が向上した」と回答した人が約4割に達しています。反対に、コロナ前よりも体温測定を「意識しなくなった/意識が下がった」と回答した人は1割ほどにとどまりました。
今回のアンケート調査はコロナが5類に移行した2023年6月から半年ほど経過した時期に実施していることもあり、体温測定に対する意識はあまり薄れていないように見受けられます。
次の質問では、Q.1にて「体温測定に対する意識が向上した」と回答した人を対象に、体温を測ることへの意識が高まった理由について伺いました。最も多かった回答は「自分が新型コロナウイルスに感染しているか気になるため」、次いで多かったのが「日々の健康管理のため」となっています。
今回のアンケート結果では、日々の健康管理のため、新型コロナウイルスを含めた感染症に罹患しているかどうかを確認するために、体温を測定する人が多いことがうかがえます。
一方で、コロナ拡大期と5類移行後を比較して、体温を測定する頻度に変化があったかどうかをたずねました。その結果、現在では体温測定の回数がどのように変化したかがうかがえました。
コロナが5類に移行してからは、体温測定の頻度が減ったと回答した人が5割に上りました。一方で変わらないと回答した方が34%、増えたと回答した人が15%いました。5類移行後は、半数が体温測定の頻度が減っている一方で、半数がコロナ感染拡大期と同様に、または回数を増やして体温測定しています。
体温測定の回数が減少した要因のひとつとして、学校や企業などの施設で検温する機会が減ったことが推測されます。コロナ拡大期・5類移行後の各期間について、各施設の入口または施設内部で何らかの方法により検温を実施していた割合(複数回答を総計)をまとめたところ、差異が大きい施設での結果は下記になりました。
施設内での検温実施の割合(複数回答)
コロナ拡大期 | コロナ5類移行後 | 差 | |
---|---|---|---|
企業 | 68% | 39% | ー29ポイント減少% |
学校 | 76% | 36% | ー41ポイント減少% |
ビジネス系コミュニティ | 81% | 60% | ー21ポイント減少% |
スポーツ系コミュニティ | 83% | 42% | ー41ポイント減少% |
※ビジネス系コミュニティとは英会話教室やパソコン教室など、スポーツ系コミュニティとはジムやヨガ教室などのことを表しています。
5類移行によりコロナ前の暮らしが戻りつつありますが、新型コロナウイルス感染症だけでなく、季節性インフルエンザなど他の感染症の予防のためにも、体温の測定をご自身の体調管理の一つとして活用してみてはいかがでしょうか。
【調査概要】
・調査対象:18歳~89歳男女
・調査期間:2023年11月16日~11月27日
・調査手法:インターネットを利用したアンケート調査
・回答件数:n=1,000
・対象:
1 子育て世代:20代~40代(0歳~12歳の子どもを持つ親) 400人
2 学生:10代~20代 200人
3 会社員:30代~50代 200人
4 アクティブシニア:60代~80代 200人
岡部信彦
川崎市健康安全研究所 参与
1971年、東京慈恵会医科大学卒業。同大学小児科で研修後、帝京大学小児科助手、その後、慈恵医大小児科助手。国立小児病院感染科、神奈川県立衛生看護専門学校付属病院小児科などに勤務。1991~1994年、世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務局(フィリピン・マニラ市)伝染性疾患予防対策課課長。1994~1997年、慈恵医大小児科助教授。1997年、国立感染症研究所感染症情報センター・室長。2000年、同研究所感染症情報センター長。2012年から川崎市健康安全研究所 所長に就任し、2024年より現職。内閣官房新型コロナウイルス感染症対策分科会委員、厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード委員を歴任。