公開日2024.07.04
※当コンテンツの内容は2023年11月時点の情報となります。
テルモ体温研究所では、新型コロナウイルス感染症の5類移行前後で体温測定と外出頻度に変化があったかアンケート調査を行いました。感染症専門医のコメントとともに紹介します。
監修:岡部信彦(川崎市健康安全研究所 参与)
目次
アンケートでは新型コロナウイルス感染症の流行前(~2019年)、感染拡大の期間(2020年1月~2023年5月)、5類移行後(2023年6月~11月)の各期間において、体温測定の頻度をたずねました。ここでの体温測定は、自宅での検温など自主的な検温のみを対象としています。
・体温をまったく測らない人の割合はコロナ前が38%だったのに対し、拡大期には15%に減少した
・5類移行後は体温をまったく測らない人の割合は30%で、拡大期の15%から増加したが、コロナ前の38%よりやや低くなっている
・毎日体温を測っている人はコロナ前が7%だったのに対し、拡大期には29%に増加した
・5類移行後も毎日体温を測っている人が12%と、コロナ前よりも増加している
5類移行後、毎日体温測定をしている人はコロナ拡大期の29%から12%に減少しました。一方で、コロナ前と比べて5類移行後に毎日体温測定している人は、7%から12%に5%増えています。体温をまったく測らない人は、コロナ拡大期と比べて2倍増加したことになりますが、コロナ前に比較するとやや低い程度となっています。
毎日体温測定をしていた人の内訳をより詳しく見ていきましょう。下図は、Q.1の結果のうち毎日体温を測っている人を年代別にしたものです。
コロナ前後で毎日体温測定をしていた人の年別の数
各世代ともに、毎日体温を測っている人がコロナ前と比べて5類移行後(現在)では増加しています。さらに、5類移行後(現在)は、年代が上がるほど毎日体温を測っている人は増える傾向にあり、特に70~80代のシニア層では16~17%と各年代の中で最も高い数値になっています。
今回のアンケートでは、コロナ前・感染拡大期・5類移行後の各期間において、外出頻度がどのように変化したのかについてもたずねました。なお、ここでの外出には散歩や運動、近所への買い物といった短時間の外出も含まれています。
・コロナ前から感染拡大期にかけて、「毎日」「週に4~6日」外出する人の割合が下がった
・コロナ感染拡大期には外出を控えていた人が多かったことがうかがえる
・5類移行後の外出頻度はコロナ前の割合にほぼ戻っている
5類移行後の外出頻度に関しては、ほぼコロナ前の水準に戻っているという結果が出ています。コロナが5類へ移行したことにより、多くの人がコロナ前の暮らしに戻りつつあることの表れと捉えてよいでしょう。
「体温測定の結果が何度以上だった場合に外出やコミュニティへの参加を控えていたか」についても質問をすると、コロナ感染拡大の期間・5類移行後(現在)のいずれにおいても、学校や企業に所属する人は、体温測定の結果が37.5度を基準に外出を控える人が多いという結果が出ています。スポーツ系コミュニティ(ジム・ヨガ教室など)や習い事(お料理教室・着物教室等)、自治会や地域防犯組織などの地域コミュニティなどでの外出については、37度を超えると外出や参加を控えている人が多いこともわかりました。
Q. 会社、コミュニティに属する方へお伺いします。現在、体温が何度以上だと外出や参加(出社・登校など)を禁止、または控えていますか?
5類移行後の現在、体温が37.5度以上、コミュニティなどでは37.0度以上になると外出を控える人が大多数であることがわかりました。38度を超える体温では外出する人は限られるという結果になりました。
【調査概要】
・調査対象:18歳~89歳男女
・調査期間:2023年11月16日~11月27日
・調査手法:インターネットを利用したアンケート調査
・回答件数:n=4,400(年齢・性別による人口構成比)
岡部信彦
川崎市健康安全研究所 参与
1971年、東京慈恵会医科大学卒業。同大学小児科で研修後、帝京大学小児科助手、その後、慈恵医大小児科助手。国立小児病院感染科、神奈川県立衛生看護専門学校付属病院小児科などに勤務。1991~1994年、世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務局(フィリピン・マニラ市)伝染性疾患予防対策課課長。1994~1997年、慈恵医大小児科助教授。1997年、国立感染症研究所感染症情報センター・室長。2000年、同研究所感染症情報センター長。2012年から川崎市健康安全研究所 所長に就任し、2024年より現職。内閣官房新型コロナウイルス感染症対策分科会委員、厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード委員を歴任。