病気としっかり向き合って
子育てで何が心配かといえば、子どもに現れるいろいろな症状です。体が熱いから体温を測ったら37度5分あった、今朝から咳が出る、いつもと違った便が出たなど、あげればきりがありません。症状が現れるのには、それなりの原因があります。例えば、かぜのウイルスによる感染があれば、発熱したり咳をするでしょう。しかし発熱する病気は、かぜだけではありません。もし怖い病気だったらどうしよう‥と不安になったり、弱気になったりします。しかし病気の原因や治療・予防方法を知って、とりあえずのケアができれば、その不安を軽くできたり、さらに病気が悪くなるのを防ぐこともできるでしょう。そこで、ここでは子どもが発熱する病気の代表的なものを取り上げて説明したいと思います。
解説
のどが真っ赤になる
発熱、のどの赤みと痛み、発疹などで、とくにのどの赤みは、ほかの風邪と比べても明らかに赤く、「真っ赤」なのが特徴です。また、ときには舌の表面のボツボツが赤く大きくなってイチゴのように見える「苺舌(いちごじた)」も観察されます。全身がだるいとか、食べたものを吐いてしまうこともあります。せきはほかの上気道炎と比べてひどくはありませんが、咳き込みがひどくなったら下気道まで達した気管支炎の合併が疑われます。
学童期の子どもに多い
この病気は「A群溶血性レンサ球菌咽頭炎」といって学童期の小児に多く、3歳以下や成人ではぐっと少なくなります。発生時期は冬または春から初夏にかけて、2つの流行のピークがあります。病院では、必要に応じて抗生物質製剤を処方することが多い病気です。適切な治療が行われれば、ほとんどの場合24時間以内に他人への感染を防げる程度に病原菌を抑制できますから、登校登園については、流行阻止の目的というよりも患者本人の状態によって判断すればいいでしょう。
流行しているときは、手洗い・うがいをしっかり
この病気は患者との接触を通して感染することが多いので、家庭や学校内での感染も多くなります。予防するには、患者との濃厚な接触をさけることが最も重要になります。したがって流行しているときは、手洗い、うがいなどの一般的な予防法をしっかりと実行してください。
監修者紹介
巷野悟郎(こどもの城小児保健クリニック)
1944年東京大学医学部卒業。東大小児科、都立駒込病院小児科医長・副院長、都立府中病院長、東京家政大学教授、聖徳大学児童学科教授、(社)日本小児保健協会会長、こどもの城小児保健クリニック院長を経て現職。
巷野先生からのメッセージ
赤ちゃんが健康なときの体温をはかっておきましょう。朝起きたとき・昼頃・夕方・寝る前の4回。
これを母子健康手帳に書いておくと、予防接種を受けるときや、少し熱があるときなど参考になります。
体温は一人ひとり違うからです。しかし熱があるからといって、目盛りの数字にとらわれないで、そのときの赤ちゃんの機嫌や全体の様子などを、優先して判断しましょう。

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