測る場所によっても異なります
体の中心ほど高くて安定
ヒトの体は、表面や内部、またその場所によっても温度が違うことがわかります。手足や顔など、体の末端や表面の温度は、季節や環境の影響を受けます。
一方、体の内部の温度は、脳や心臓などの大切な臓器の働きを保つために、高く安定しています。この体の内部の安定した体温を「中核温」といい、これを測れば、安定した指標としての体温が得られますが、体の内部なので日常的には測れません。
体内の温度が反映される場所で検温
そこで体に負担をかけずに簡単に検温できる場所として、ワキ(腋窩)、口(舌下)、耳、直腸など体と表面に近い場所が用いられています。
測定する部位ごとに検温に必要な時間や方法が異なり、得られる温度も異なります。平熱も部位により違うため、それぞれの部位の平熱を知る必要があります。
部位ごとに平熱があります
ヒトの体の温度は部位によって違うため、耳とワキの温度も基本的には異なります。また、グラフのように耳とワキの温度の関係は、同じ位の人、高い人、低い人とまちまちです。ですから、一概にワキと比較して高い、低いとは言えません。耳には耳の、ワキにはワキの”平熱”があるので、あらかじめ知っておくことが大切です。
日本はワキ、外国では!?
外国には歯ブラシ同様、家族一人ひとりが自分専用の体温計を持っている国があります。
それは、体温計を直腸内に入れて検温する習慣があるため。私たちには少し抵抗がありますね。また口(舌下)で検温する習慣を持った国もあります。日本ではワキでの検温が主流です。
監修者紹介
三川 宏(東京衛生病院麻酔科(元 杏林大学病院長))
1958年東京医科歯科大学医学部卒業。国立小児病院麻酔科医長、南カリフォルニア大学ロサンゼルス小児病院麻酔科、カンザス大学医学部麻酔科准教授、杏林大学病院長を経て現職。
三川先生からのメッセージ
「体温は、誰にでも測れる健康のモノサシです。」
脈拍や血圧、呼吸数、体温・・・人の健康には、さまざまなモノサシがあります。
なかでも体温は、ご家庭にある体温計で誰にでも気軽に測れる、もっとも身近な体調チェックの手段といえるでしょう。自分や家族の平熱を知ることは、血圧の正常値を知ることと同じくらい大切です。
体温の変調を見つけることで、病気に早く気づき、それだけ早く治療がすすめられます。
体温についての知識と正しい測り方を身につけてください。
