公開日2021.08.30
※当コンテンツの内容は2021年7月時点の情報となります。
年をとると、発熱をともなう病気になっても熱が出にくくなります。かぜやインフルエンザなどの感染症に注意しましょう。ふだんから体温に注意を払うことが大切です。
監修:永島 計 早稲田大学人間科学学術院 体温・体液研究室 教授(医師、博士(医学))
かぜやインフルエンザなどの感染症にかかると発熱しますが、高齢者は発熱の程度が若い人より弱いケースがよくみられます。
救急外来を受診した発熱患者を年齢層ごとに分類した報告によると、若い層では、かぜなどの一般的な感染症が多いのに対し、高齢者ではそういった軽症患者の比率が少なくなっています1)。
発熱は、細菌やウイルスに対する免疫反応の一つです。若い人では、これらの感染症の重症度に比例して高い熱が出るのが一般的です。しかし、高齢者では免疫反応が低下していることが多く、それほど熱が高くなくても、感染症が進んでいる場合があることが理由の一つと考えられます。
高齢者で熱が出た場合は、かぜなどの呼吸器感染症でも肺炎に進行していたり、高熱を発する腎盂腎炎などの尿路感染症だったりすることがよくあるのです。
こうした病気を早く発見するには、ふだんから体温に注意を払っていることが大切です。少し高いだけの場合も油断せず、家族が顔色や食欲、その他の症状などにも目を向けて、病気のサインを見逃さないようにしましょう。
1)Keating HJ, et al: J.Am. Geriatr.Soc.,32 1984
永島 計
早稲田大学人間科学学術院 体温・体液研究室 教授(医師、博士(医学))
1985年京都府立医科大学卒業。京都府立医科大学附属病院研修医、修練医、大阪鉄道病院レジデントを経て、京都府立医科大学大学院博士課程(生理系)修了。京都府立医科大学助手、YALE大学医学部・John B Pierce研究所ポストドクトラルアソシエート、王立ノースショア病院オーバーシーフェロー、大阪大学医学部助手•講師、早稲田大学助教授を経て、2004年から現職。日本スポーツ協会スポーツドクター、日本医師会認定産業医。