公開日2021.08.30
※当コンテンツの内容は2022年11月時点の情報で更新しました。
乳児(1歳未満)の体温調節については、2つの大きな特徴があります。
第1に、乳児の体温調節は未熟な面が多いということ。第2に、小さな体格に合わせた独特の体温調節があり、成人と異なるということです。
ここでは、特に1歳未満の赤ちゃんの体温の特徴についてお話しします。
監修:草川功(聖路加国際病院 小児科 診療教育アドバイザー)
目次
人の体は、表面や内部など場所によって温度が異なりますが、体の内部の温度(核心温度)は、脳や心臓などの大切な臓器の働きを維持するために、一定に保つ必要があります。
乳児では授乳前後や睡眠前後、啼泣(ていきゅう:声を上げて泣くこと)前後で、核心温度の変動が大きいことが特徴の1つです。
寒冷環境では暖かくしたり、高温環境では冷やしたりするなどの工夫が必要ですが、例えばエアコンの風が直接体に当たると影響が大きいので注意しましょう。
赤ちゃんの体温は環境の温度(環境温)に大きく影響を受けます。それは、成人に比べて赤ちゃんが熱を失いやすい身体的な特徴を持っているからです。
乳児は皮膚や皮下脂肪が薄いため体の内部の熱が体表面に伝わりやすく、また体重あたりの体表面積が成人のおよそ3倍であるため、熱が逃げやすいのです。
しかし、寒さだけに注意すればいいかというと、そうではありません。乳児は体重あたりの食事摂取量が成人より多く、成長に伴い運動量も多くなってくるため、体がつくる熱の量が多くなります。したがって、高体温による影響も考慮し、首の周りや背中に汗をかいてないか気をつけ、乳児の状態に合わせて小まめに環境温を調節する必要があります。
※環境温とは?
環境温とは、赤ちゃんの体そのものを取り巻く温度のことで、赤ちゃんに布団を掛けていればその布団の中の温度を指します。赤ちゃんが裸でいる場合は、室温が環境温になります。
<本記事における下記のことばの定義>
「乳児」・・1歳未満
※参考:児童福祉法
草川功
聖路加国際病院 小児科 診療教育アドバイザー
東京医科大学病院小児科、東京医科大学八王子医療センター小児科、国立小児病院麻酔集中治療科、米国ピッツバーグ小児病院麻酔科・呼吸生理研究室、東京医科大学病院新生児部門などを経て1992年より聖路加国際病院小児科。2005年より同病院小児科医長。2022年より現職。公益法人全国保育サービス協会会長、実践女子大学生活科学部非常勤講師など兼任。