子どもの熱が出る病気:RSウイルス感染症

公開日2021.08.30

※当コンテンツの内容は2022年11月時点の情報で更新しました。

監修:草川功(聖路加国際病院 小児科 診療教育アドバイザー)

どんな病気?

RSウイルス感染症は、RSウイルスに接触感染や飛沫感染することによって起こる病気です。
流行する時期は、地域によって違いますが、近年は6-7月頃に流行が始まり半年くらい続きます。母親からもらう免疫が効かないため、生後6カ月未満でも発症することがあります。2~3歳ころまでにすべての子どもがかかるといわれています。
一度RSウイルスにかかったとしても、一生涯の免疫が得られるわけではないため、成人になるまでに何度もRSウイルスにかかる可能性はあります。

どんな症状?

発熱、鼻水、咳などが2~3日続きます。大人のように再感染の場合は、鼻水や咳程度の軽い感冒症状(かぜのような症状)で済むことがほとんどですが、1歳以下、特に3カ月未満の赤ちゃんで初感染の場合は細気管支炎や肺炎などを引き起こしやすいので注意が必要です。ゼーゼーという喘鳴(ぜんめい)があったり、顔色や唇の色が悪かったり、呼吸の際に胸がペコペコへこむようなときはすぐに受診しましょう。

治療・ケア

特別な治療薬はなく、解熱剤や去痰薬などで症状を和らげます。合併症の疑いがあるときは抗菌薬が処方されることもあります。
家庭では咳を抑えるために、部屋を加湿します。脱水を防ぐために小まめな水分補給も大切です。
注:小さく生まれた赤ちゃん、心臓の病気を持った赤ちゃんなどには、RSウイルス感染の予防薬の注射があります。

<本記事における下記のことばの定義>
「乳児」・・1歳未満
「幼児」・・満1歳から小学校就学前まで
※参考:児童福祉法

監修者紹介

草川功

聖路加国際病院 小児科 診療教育アドバイザー

東京医科大学病院小児科、東京医科大学八王子医療センター小児科、国立小児病院麻酔集中治療科、米国ピッツバーグ小児病院麻酔科・呼吸生理研究室、東京医科大学病院新生児部門などを経て1992年より聖路加国際病院小児科。2005年より同病院小児科医長。2022年より現職。公益法人全国保育サービス協会会長、実践女子大学生活科学部非常勤講師など兼任。

草川先生
からのメッセージ
体温は、体調管理の上で最も用いられる指標の一つです。非接触型の体温計、耳の鼓膜温を測定する体温計、そして、昔ながらの腋窩で測定する体温計など、体温計は種類が豊富で、その目的に合ったものを選べば、誰にでも簡単に子どもの体温測定ができます。そして、その数値の変化を見るだけで、子どもの体調の変化を客観的に知ることができます。
ただし、ちょっとしたことで変化しやすい子どもの体温は、その基本を知っていなければ、不正確な体温測定になってしまい、余計な心配ばかりが増えることにもなりかねません。体温についての正しい知識を持ち、正確に体温を測定する方法を身につけ、是非、お子さんの健康管理に役立ててください。
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