公開日2021.08.30
※当コンテンツの内容は2021年7月時点の情報となります。
監修:草川功(聖路加国際病院 小児科 医長)
目次
手足口病は、コクサッキーウイルスやエンテロウイルスに飛沫感染することによって発症する病気です。いわゆる「夏かぜ」の一種で、発症者の約9割は5歳以下の小児とされています。原因となるウイルスに一度感染すると免疫ができるため、同じウイルスに再び感染しても手足口病を発症することはありません。しかし、手足口病の原因となるウイルスは複数あるため再感染することも多く、近年では成人が発症するケースも増えています。
ウイルスの潜伏期間は3~5日ほどで、手のひらや足の裏、口の中などに小さな水ぶくれのような発疹が出ます。発疹はひじやひざ、お尻にも見られます。発熱は微熱程度ですが、ウイルスのタイプによっては38~39℃に達することもあります。多くは数日で自然に熱が下がり、後遺症を残すことはまずありません。しかし、まれに髄膜炎や脳炎などの重篤な合併症を引き起こすことがあります。
特別な治療薬はなく、解熱剤や口の中の痛みに対する鎮痛薬などが用いられます。発疹は3~7日ほどで自然にかさぶたとなって治っていくため、かゆみや痛みなどがない場合は特に塗り薬などは必要ありません。口の中の発疹が痛むときは、ゼリーやプリンなど口あたりのよいものを用意しましょう。また、脱水を防ぐために小まめに水分を補給することが大切です。
手足口病は症状が改善した後も2~4週間は便の中にウイルスが排出されるので、オムツ交換やトイレの使用時は手洗いと手指消毒を徹底して行うようにしましょう。
草川功
聖路加国際大学・聖路加国際病院 臨床教授・小児科医長
総合病院小児科新生児、東京医科大学八王子医療センター小児科、国立小児病院麻酔集中治療科、米国ピッツバーグ小児病院麻酔科・呼吸生理研究室、東京医科大学病院新生児部門を経て現職。公益法人全国保育サービス協会会長、実践女子大学生活科学部非常勤講師など兼任。