子どもの熱が出る病気：プール熱（咽頭結膜熱）

監修：草川功（聖路加国際病院 小児科 診療教育アドバイザー）

どんな病気？

プール熱（咽頭結膜熱）は、アデノウイルスに接触感染や飛沫感染、便からの感染によって起こる病気です。夏季に多くみられる「夏かぜ」の一種ですが、冬に発症することもあります。
プール熱と呼ばれていますが、プール以外で感染することも多く、保育園や幼稚園、小学校など集団生活をする子どもの間で流行します。5歳以下の発症が多くを占めます。

どんな症状？

アデノウイルスに感染してから5～7日ほどの潜伏期間を経て、38～39℃の発熱とのどの痛み、結膜炎を発症するのが特徴です。
咽頭結膜熱は1週間程度で自然によくなり、後遺症を残すことはほとんどありませんが、新生児が感染すると重症化することもあります。

治療・ケア

特別な治療薬はなく、解熱剤やのどの痛みを和らげる薬を用いて、自然回復するのを待ちます。目の症状には点眼薬が処方される場合もあります。のどが痛くて食事がとりづらくなるため、冷めたスープやゼリー、プリンなど、のどごしのよいものを用意しましょう。脱水を防ぐために小まめな水分補給が大切です。
高熱が出ているときは入浴を避け、短時間のシャワーか、お湯を絞ったタオルで体を拭いてあげます。アデノウイルスは感染力が強いので、兄弟・姉妹がいる家庭ではタオルなどの共用は避け、小まめな手洗いを心がけましょう。

監修者紹介

草川功

聖路加国際病院 小児科 診療教育アドバイザー

東京医科大学病院小児科、東京医科大学八王子医療センター小児科、国立小児病院麻酔集中治療科、米国ピッツバーグ小児病院麻酔科・呼吸生理研究室、東京医科大学病院新生児部門などを経て1992年より聖路加国際病院小児科。2005年より同病院小児科医長。2022年より現職。公益法人全国保育サービス協会会長、実践女子大学生活科学部非常勤講師など兼任。

草川先生
からのメッセージ

体温は、体調管理の上で最も用いられる指標の一つです。非接触型の体温計、耳の鼓膜温を測定する体温計、そして、昔ながらの腋窩で測定する体温計など、体温計は種類が豊富で、その目的に合ったものを選べば、誰にでも簡単に子どもの体温測定ができます。そして、その数値の変化を見るだけで、子どもの体調の変化を客観的に知ることができます。
ただし、ちょっとしたことで変化しやすい子どもの体温は、その基本を知っていなければ、不正確な体温測定になってしまい、余計な心配ばかりが増えることにもなりかねません。体温についての正しい知識を持ち、正確に体温を測定する方法を身につけ、是非、お子さんの健康管理に役立ててください。